イベント情報
                      
2009/2/13(金)〜3/15(日)
特別展「映像でみる自然の脅威と砂防」
 立山カルデラ砂防博物館がこれまでに収集してきた大災害をもたらす自然現象を捉えた貴重な映像及び砂防事業関連を紹介する映像を通して、自然の猛威や砂防事業の重要性を再認識するために開催しました。
 「砂防と治水」など6本を上映しました。昭和13年当時の県の砂防事業の取り組みを紹介し、火山噴火や火山泥流、地滑りの映像を放映したほか、「火山と土石流」では雲仙普賢岳、セントヘレンズ火山、ピナツボ火山などの噴火の様子と砂防対策も紹介しました。
 立山カルデラから流れ出す崩壊土砂を防ぎ、富山平野に暮らす県民の命と財産を守る砂防事業の映像もあり、来館者は砂防の大切さを身近に感じられたようでした。期間中、641名の方々にご来館いただきました。

2009/1/10(土)〜2/11(水)
写真展「すばらしい自然を」
 富山県自然保護協会の会員が、日頃の調査・研究や解説の折に撮影した作品65点を展示しました。立山など県内を中心に、国内や海外で体感した自然の素晴らしさや大切さを感じさせる作品が並びました。
 紅葉の立山、一瞬の雲の変化、何回も通ってやっと写した景観、氷河によって形つくられた地形など、引きつけられる作品の数々に、何時までも見入る方々が多く見られました。

2009/1/31(土)・2/07(土)
フィールドウォッチング「立山の雪を観察しよう」
 昨年までは、雪結晶作りと生き物探しとを別な日に半日で実施していました。今年は、欲張って1日で両方体験してもらいました。
 午前は、まず雪結晶づくりに挑戦しました。常温の室内でペットボトルの中につり糸を下げ、ドライアイスでまわりを冷やして作る実験(旭川東高等学校の平松和彦先生が発案)です。糸にきれいな樹枝状六花の雪結晶が成長し歓声があがっていました。午後は、付近のスキ−場周辺に場所を移して雪上の自然観察を行いました。今年は例年にない暖冬で、積雪量も少なく心配しましたが、予定通りシュノ−シュウで雪上を歩き、生き物の様子を観察しました。うさぎ、てん、きつね、いのしし等の足跡も多く見られ、動物の活発な動きの様子が伺えました。幼稚園児や小学生が寒さに負けず、先頭を切って自然観察する姿など好評な観察会となりました。1月31日は11名、2月7日は23名の参加がありました。

2008/10/07(火)〜12/07(日)
企画展「地震と土砂災害」−大規模地震と天然ダム−
 平成20年度の秋の企画展は「地震と土砂災害 〜大規模地震と天然ダム〜」と題して、大規模地震によって引き起こされる土砂災害のうち、特に天然ダムを形成したものにスポットをあてたパネル展を行いました。平成20年には、5月12日に「四川大地震」(中国)、6月14日に「岩手・宮城内陸地震」という、ともに震度6を超える地震により、崩壊した土砂が川を閉塞して大きな天然ダムを形成しました。これらの天然ダムは緊急の対策工により決壊による大災害の難を逃れています。しかし、150〜160年前に起こり、古絵図等の記録として残る「安政の飛越地震」、「善光寺地震」では、その決壊により大土石流、洪水が発生して下流に甚大な被害をもたらしています。これらに加えて平成16年の「新潟県中越地震」における、その被害や決壊防止のための対策工事などを今回の企画展で紹介しました。過去に起こった地震による土砂災害などの大災害が今でも起こる可能性が十分にあること、また、その災害が現在の土木技術、情報技術などにより軽減できる可能性があることを、開催期間中の博物館入館者9,878人に理解していただけたのではないかと思います。

2008/09/09(日)〜12/07(日)
特別展「飛越地震から150年」−見えてきた跡津川断層の姿−
 跡津川断層は、その地域性と活動性の特徴から近年研究者の注目を集めています。飛越地震を引き起こして既に150年が経過したにもかかわらずいまだに多数の微小地震が発生し、また跡津川断層を含む新潟から神戸までにいたる帯状の地域は大地の変形する速度が速い、「歪み集中帯」であることがわかってきました。諸研究者はこの跡津川断層を舞台にして、内陸活断層における地震発生のメカニズムを解明しようとしています。
 この特別展は、近年得られた跡津川断層を対象とする調査研究成果にアプローチし、これまでの断層像、地震像について概念の更新をねらう展示としました。地中深くに存在する断層は視覚的に直接調べることが出来ないため、地震波や電磁波が伝える地下の様子を解析したり、活断層の運動によって変成された古い岩石を分析してその姿を推定します。しかし、その解釈は難解です。博物館ではこれらの研究成果をできるだけ平易にお伝えできるよう努めましたが、観覧される方の中には解説パネルの前でしばし腕組みして考える姿が見受けられました。これからも博物館では新しい研究成果については積極的に紹介していくこととします。

2008/10/12(日)
フィールドウォッチング「秋の有峰と常願寺川砂防探訪」
 10年に一度、と言われるほど今年の富山の紅葉は素晴らしい。特に、有峰では天気もよく、息を呑むような景観で、楽しんでいただいた。
 常願寺川の支流、和田川沿いの林道小見線で有峰を尋ね、有峰ダム、湖底に沈んだ人々の生活、電源開発などについて解説した。下山は小口川沿いの林道小口川線を利用し、祐延池などを観察した。
 安政の飛越地震による天然ダムの形成・そして決壊により流された巨岩(大転石)の一つ、西大森の大転石を見学、また本宮砂防えん堤の水辺の楽校、佐々堤、西の番の相撲大会余話などに関心を示す方も多く、「富山のへそ」には特に興味を持たれたようだった。21名の参加があった。

2008/10/05(日)
フィールドウォッチング「秋の弥陀ヶ原とカルデラ展望」
 紅葉真っ盛り、天気にも恵まれ、素晴らしい自然観察会になった。日頃、自然に恵まれている富山県人は、なかなか綺麗と言ってもらえないが、今回は満足されたようだった。
 午前は弥陀ヶ原の追分から木道を辿りながら自然に親しみ、松尾峠展望台からカルデラを取り巻く山々やザラ峠・刈込池、そして砂防施設を遠望しました。雲など、遮るものもなく、十二分に眺望を楽しんでもらえたようである。
 昼食後、国民宿舎天望立山荘の研修室にて映像を交え、3人の学芸員などにより弥陀ヶ原の植物、温泉の湧出する新湯、熊の生態などを解説し、関心を深めて頂いた。
 その後、弥陀ヶ原の遊歩道を辿り、追分から帰った。バスの車窓からも紅葉の素晴らしさに感動の声が続く、楽しく味わいある観察会となった。参加者は39名であった。

2008/04/22(火)〜09/30(日)
特別展「大崩壊地立山カルデラと砂防施設群−世界文化遺産登録にむけて−
  飛越地震から150年目の節目の年、跡津川断層など地震の痕跡をたどりました。「跡津川断層」をはじめ「本宮えん堤」「石倉町延命地蔵尊」などで、参加者の皆さんは学芸員の話に耳を傾け、災害の恐ろしさを改めて考えさせられたようでした。また、「西大森の大転石」・「大場の大転石」では、巨大な石を前にして、大きな石を押し流した大洪水の凄まじさや治水を願う当時の人々の思いに触れ、防災について学ぶ良い機会になったと喜んでおられました。

2008/09/28(日)
 フィールドウォッチング − 飛越地震と常願寺川探訪 −
  飛越地震から150年目の節目の年、跡津川断層など地震の痕跡をたどりました。「跡津川断層」をはじめ「本宮えん堤」「石倉町延命地蔵尊」などで、参加者の皆さんは学芸員の話に耳を傾け、災害の恐ろしさを改めて考えさせられたようでした。また、「西大森の大転石」・「大場の大転石」では、巨大な石を前にして、大きな石を押し流した大洪水の凄まじさや治水を願う当時の人々の思いに触れ、防災について学ぶ良い機会になったと喜んでおられました。
大場の大転石前で記念撮影です。 石倉町延命地蔵尊で喉を潤しました。

2008/09/07(日)
 フィールドウォッチング − 室堂山・浄土山とカルデラ展望 −
 室堂山から浄土山へ、自然を観察しながら、立山カルデラを展望しようとする観察会です。25名を2班に分け、2名で誘導しました。また山岳ガイド1名に付き添って頂きました。ただ浄土山の中腹を登っている途中に急に強い雨に遭い、更に雷も鳴り、小学3年生の2名の参加など考慮し、ガイドのアドバイスで下山し、室堂平の自然観察に切り替えました。
 昼食は室堂山の中腹でとりました。午後は雨も上がり、玉殿窟、国の重要文化財指定の「室堂」の内部、ミクリガ池などを尋ねました。
 日頃、見学できない所も見ることができてよかったとの声も頂きました。
浄土山登山口で一息です。 ヒット曲ワレモコウの花も見られました。

2008/07/12(土)〜09/07(日)
 第21回企画展「再発見 立山火山−アプローチ最前線−」
 今回の企画展では、立山カルデラ砂防博物館が開館10周年を迎えた年ということで、博物館のメインテーマである立山カルデラを含めた立山火山について、今一度振り返ることといたしました。立山火山の成り立ち、立山温泉新湯の変遷及び立山カルデラの崩壊についての最新の調査結果を詳しく紹介し、立山カルデラについて認識を深めるとともに立山火山を再発見する機会としました。
 会場正面には、ロックウオッチングコーナーを設け、立山周辺の岩石類に親しんでいただきました。岩石類や地質の説明には、103インチの大型画面を使い、カシミール3Dによる立山火山スカイトレッキングを展示し概要を理解していただきました。
 企画展示室には、立山火山の成り立ちの変遷をパネルで紹介しました。噴火口の位置が活動ごとに北上していることに注目を浴びていました。
 体験コーナでは、模擬噴火実験及び玉滴石をはじめとした主な蛍光鉱物を観察しました。また、「オリジナル針状結晶をGet!」では、地獄谷で見られる硫黄の針状結晶を自分で作りお土産として持ち帰ることができたので、好評を博しました。関連イベントとして8月22日〜24日に「立山カルデラの稜線を歩こう」(室堂〜五色ケ原)を実施し、参加者はいにしえの火山活動の名残を訪れ、立山火山のダイナミックさを体感しました。期間中、13,733名の方々にご来館いただきました。 
ロックウオッチングがお出迎え! 103インチの大画面 立山火山スカイトレッキング
調査で採取した貴重な試料を紹介 オリジナル針状結晶をGet! に挑戦
迫力ある模擬噴火実験 稜線を歩こうで鬼岳を過ぎたあたり

2008/08/23(土)〜24(日)
 世界野生生物映像祭 フィルムツアー
  NPO法人地球映像ネットワ−クの協力により、世界野生生物映像祭の入賞作品からピックアップした10本の映像を、当館の大型スクリ−ンで無料で上映しました。日頃接することの出来ない凄い作品の数々で、ライオンやオオカミ、ペンギンにサメなど、世界各国の動物達のかわいく、時に残酷な自然の営みを体感しました。また、博物館周辺で撮影された動物たちをパネルで紹介したり、剥製を展示したりと、案外身近なところにも生命力があふれていることを紹介しました。2日間でのべ506人の方に来場いただきました。

2008/08/18(月)
 名誉館長講演会「近年の自然災害から」
 最近発生した自然災害のうち、都賀川水難事故、能登半島地震、新潟県中越沖地震、兵庫県南部地震、岩手・宮城内陸地震について、豊富なスライドを交えて詳細に解説していただいた。特に、岩手・宮城内陸地震については、地震による大規模な山崩れの現場を実際に訪れたスライドを見せていただき、それまで緑豊かな丘陵地帯だった場所が地震により一変してしまった姿に、改めて驚きと恐ろしさを感じた。また、記憶に新しい神戸の水難事故では、近年増加しているといわれる短時間豪雨の恐ろしさを目の当たりにした。キャンプ砂防で研修中の大学生も聴講に訪れ、参加者は60名に達した。

2008/08/2(土)〜3(日)
 立山実験室 サイエンスショーウィーク 2008
 一日2回のショータイムと、じっくり話しをしながら不思議を探求できるブースコーナーからなる実験を、日本各地からお招きした4人の先生と博物館の学芸員により開催しました。普段、身の回りでおきている自然現象は、趣向をこらした実験によりわかりやすく体験することができます。空から降ってきて一瞬で地面に落ちてしまう雨粒を目の前で観察できる装置の前では、子供達がその不思議さに目を丸くして見入っていました。火山の噴火の様子を再現したカルメ焼き作りや、合図ひとつで突然凍る過冷却水、自転車をこいで電気起こしなど楽しい2日間となりました。

2008/06/28(土)
 立山夏山開き共催イベント「材木坂を訪ねて」
 祭典に参列、常願寺太鼓や立山の舞などを楽しみ、40人を3班に分け自然に親しみながらゆっくり急坂をたどりました。先日、この材木坂を下っておられた方が道を間違え遭難された痛ましい出来事があり、坂道は見違えるように整備されていました。ボランティア活動らしく素晴らしい方がいらしたようで有難かった。
 ブナや立山杉の巨木の中、森林浴を味わいバ−ドウォチングを楽しみながら急坂を登り全員いい汗をかきました。
 午後は美女平の遊歩道を歩きながら自然を充分に楽しみました。

2008/06/07(土)
 土砂災害防止月間イベント「Dr.ナダレンジャーの自然災害の科学実験ショー」
 土砂災害防止月間イベントとして土砂災害に関するサイエンスショーを総曲輪フェリオ グランドプラザにおいて行いました。Dr.ナダレンジャーこと納口恭明氏((独)防災科学技術研究所)は、災害に無関心な層を主な対象に、災害に少しでも興味を持ってもらうために世界最小、最速、最安液状化実験「エッキー」などを開発し普及活動を行っていらっしゃいます。
 今回は、雪崩・液状化現象・固有振動などの実験を身近な雨樋、発泡スチロールなどを使いユーモア溢れるトークで紹介されました。参加した子どもたちは自然現象をまねた現象が起こるたびに大きな歓声を上げ、災害について関心を持ってくれたようです。 

2008/06/01(日)
 フィールドウォッチング − 春の材木坂と美女平 −
 立山登拝で最も厳しい道と言われてきている「材木坂」、自然観察をしながらゆっくり登りました。白く幽霊草とも呼ばれる、ギンリョウソウも見られました。途中、休憩を兼ね学芸員が植物、動物(熊)、歴史などについて解説を行いましたが、関心が高まったようで質問ぜめにあう場面もありました。
  「出向い杉」と名付けられた杉の巨木の前で昼食をとり、午後は美女平の遊歩道を歩きました。杉の巨木は、寿命が尽きても次ぎの世代のために頑張っていることについても体感してもらいました。また、美女平でも植林の行われていたことに驚いている方が多くみられました。
  天気にも恵まれ、小学生6人が歌を歌いながら元気に登り、一同勇気づけられました。参加者は36人でした。

2008/05/11(日)
 フィールドウォッチング
− 春の立山 雪の大谷 −
 立山黒部アルペンル−トの一番の人気スポットになっている「雪の大谷」。最近は海外、ことに台湾からの観光客が多く、なにか外国にいるような雰囲気の観察会になった。
  前夜からの雨が室堂平では雪、10pもの積雪があり、桂台のゲ−トでは弥陀ヶ原から上はチエ−ン規制になるかもしれないとの連絡、無事室堂に着けるかと不安にかられながらバスを進めた。
  除雪車も動き、天気も回復して道の積雪も溶け、トラブルもなく室堂平に到着。雪の大谷付近は観光客が多く、じっくり観察したり解説を聞いたりできないので、まず通称「雪の小谷」と呼ぶ雪壁で1時間ほど観察や解説を聞いてもらった。その後、多くの人々がいる「雪の大谷」で約15mの高さの雪壁を観察してもらった。
  観光客の大半は高い雪の壁に驚くだけで帰られるようだが、じっくり立山の雪について経験してもらった。雪壁を作るのは、雪壁は崩れないか、全部溶けるのか、いつ頃か、質問も多かった。
  午後は自然保護センタ−を見学後、ミクリガ池を一周し、日本で最も古い山小屋の国指定重要文化財の「室堂」により戻った。途中雷鳥3羽も顔をみせ喜ばれた。
  ミクリガ池周辺には地表が見える所もあり、雪壁を見た後でもあり除雪したのですかの質問する方があった。周辺の山並も望め、昨日まで黄砂で汚れていた山膚も真っ白になり素晴らしい景観であった。新雪による表層雪崩が何ケ所でも発生していた。
  帰りのバスの中では「雪の粒はどんな色」「雪は、上又は下から、どちらから溶ける」「溶けるとどれくらいの深さの池になるか」など、雪に関する問題と解説、さらに雷鳥に関する解説を行った。立山の雪を充分体験できたとの感想も頂き好評であった。46名の方に参加をしていただきました。

2008/03/20(木) 〜 04/20(日)
 体験学習会公募写真展
 − レンズが見た立山カルデラ −
 昨年7月から10月に行われた「立山カルデラ砂防体験学習会」に参加された方々や立山カルデラ解説員の皆さんそして博物館学芸員等、合わせて38人によって捉えられた印象深い作品85点が集まりました。
 多様な作品を前にして長く立山カルデラにたずさわる学芸員ですら「あれ?この作品は何処を写したものだろう?」とすぐに思い浮かばなかったり、見慣れた被写体でも意外な部分に注目した作品、かつてのカルデラと人との関わりを偲ばせる記録写真、更には平野部や飛行機など遠方から捉え、「へぇ、こんなふうに見えるんだ」という様々なアングル・表情・画角の立山カルデラが並びました。写真展を重ねるごとに新しい発見があり、立山カルデラの深遠さを垣間見た気がしました。
 より多くの方々に立山カルデラを知って頂くため、終了後は富山駅前CiCビル1階アトリウムにおいて巡回展(4月25日〜5月19日)を行います。是非ご覧ください。

2008/ 03/20(木)
 講演会及びトークイベント 「山の危険と危機管理−豪雪の山での遭難救助」
 日本有数の山岳地帯である北アルプス剱・立山連峰。多くの人をとりこにする山々は時として巨大な魔物と化し、登山者を飲み込ます。富山県警察山岳警備隊は、このような山での遭難事故の救出活動を行っています。昭和34年に発足した山岳救助隊の後を継いで、昭和40年に発足しています。結成から40年以上の月日が流れました。山岳警備隊の生みの親は芦峅寺の山岳ガイドで、彼らに山での技術や精神をたたきこまれました。芦峅ガイドの精神を受け継ぎ、多くの現場を経験しながら隊員1人ひとりが命の尊さを学んできました。特に、ヒマラヤ以上に厳しいといわれる豪雪の剱岳では、毎年のように遭難事故が発生しています。
 本講演では、椙田正県警山岳警備隊長が「山の危険と危機管理−豪雪の山での遭難救助」と題し、県警に採用の翌年、1967年に山岳警備隊員となって以来、42年間にわたり山岳警備、遭難救助に携わってきた様子、まさに山岳救助一筋の人生を語っていただきました。
 引き続き、伊藤名誉館長との対談を行い、厳しい雪山での遭難救助の様子、雪山の素晴らしさと背中合わせに潜む雪の恐ろしさなどを通じて自然災害と危機管理について考えました。
 「一緒に命を懸けて働いた仲間を持てたことが大きな喜び」とのことばに会場の観覧者は深く共鳴し、感謝の念を抱いたようでした。

2008/02/13(水) 〜 03/16(日)
 特別展 「赤木正雄と白岩砂防堰堤」
 明治39年(1906)、富山県が開始した立山砂防事業は、大正8年、11年の豪雨によって壊滅的な打撃を受けましたが、県民の「幸福安寧」への想いは絶えることはありませんでした。その後、県当局だけでなく、地元有志による度重なる陳情が実を結び、「砂防法」が改正され、予算の閣議了承がなされ、直轄砂防への道が開かれていきました。
 こうした県民の想いを引き継ぎ、大崩壊地・立山カルデラに挑んだのが、初代立山砂防事務所長の赤木正雄博士でした。赤木博士は、10日間にわたり市瀬技監、岡県知事ら一行とともに現地調査し、さらに約1ケ月にわたり自らの足で白岩砂防えん堤箇所の現場調査を行い、「常願寺川砂防工事全体計画」を策定しました。西欧の砂防技術に加えて、丹念な現地調査による実体験から生みだされ、確立されたものは、今日の砂防計画につながっています。
 今展示では、県民の想いを受けつぎ、今日の立山砂防工事の基礎となる計画を立てた赤木博士の人物像と砂防にかける熱いおもいを紹介しました。さらに、立山カルデラ砂防施設群が、世界文化遺産候補として提案されており、なかでも日本一の高さを誇る白岩砂防えん堤は広く注目されています。白岩砂防えん堤の文化的価値について様々な角度から考え、貴重な工事資料・写真などを展示し、当時、その築造がいかに困難なものであったかを紹介しました。

2008/02/9(土) 〜 02/17(日)
 博物館を見学してトロッコにのろうよ!!
           −立山砂防訓練軌道体験乗車 & スノーシュー体験−
 千寿ヶ原雪まつりイベントのひとつに「トロッコにのろうよ」がありました。午前11:00、午後14:00の二回は、帰りにスノーシューを履いて自然観察を行いながら戻るトレッキングを企画しました。家族連れを中心に初体験の方ばかりで、距離は500mほどの短距離でしたが喜んで頂けたようです。
 山間部では雪が多く新雪を味わう場面もありましたが、シラカンバとダケカンバ、万葉集では「ホヤ」として唱われている縁起のよい植物のヤドリギ、藤や葛のツタ植物、黒松の松ぼっくり、動物の足跡、雪上で生活する雪虫、スリット型の砂防堰堤、親水公園などについて、参加者の興味に応じ解説をしながら歩きました。

2008/01/12(土)〜02/11(月)
 環境写真展 「自然の魅力」
 富山県自然保護協会会員26名の方々がとらえた写真の展示で、日頃の調査・研究や解説の折りに撮影した写真57点を展示しました。県内外、遠くは海外で写した写真まで、自然の不思議さや大切さを感じさせる作品が並びました。
 世界遺産のアンコ−ル遺跡群、立山の紅葉のチングルマに霜が降りた姿。三宅島火山の噴火で降り積もった火山灰に埋まった神社の鳥居、流れ出た溶岩が造った不思議な地形など、自然の脅威や不思議さが随所に見られました。
 観覧者を魅了する作品が多く、引き込まれるように何時までも見入っている方がみられました。

2008/02/3(日) ・ 02/9(土)
 フィールドウォッチング 「雪の結晶づくりと雪壁観察」
 まず空気の重さを実感するための簡単な実験からはじめ、最後の実験では雪の結晶をペットボトルの中に作ることに挑戦しました。この実験は北海道の旭川西高等学校の平松和彦先生が考案された実験です。ペットボトル内に釣り糸を下げ、ドライアイスでまわりを冷やすと20分程で、釣り糸のまわりに想像以上に大きな雪結晶ができてきました。
 次に外へ出て約100cmの深さの雪の壁を観察しました。小雪の舞う中、雪の質によって重さがひどく違うことなどを観察しました。特に、ちょっと見ただけではただの真っ白な雪の壁でもインクを吹き付けバーナーであぶるとたくさんの縞模様が浮き出し、驚いた方も多かったようです。
 最後にかまくらの中に入って、雪洞体験をしていただきました。雪洞の中は意外と暖かく、静かで、予想外に明るいことを、実体験していただきました。

2008/1/26(土) ・ 2/2(土)
 フィールドウォッチング 「雪上で生き物を探そう」
 1月26日。途中から雪となったが、全員元気にスノ−シュウを活用し自然観察をしました。ことに幼稚園児が先頭に立ち、疲れた様子もなく歩いたのには驚いた。そこで、予定を変え、途中から車で戻るコ−スを考えていたが、博物館まで全コ−スを歩いた。そのため今日歩いた全コ−スを望むポイントに立つことができ、ポイントごとに解説しながらまとめとすることができた。
 動物では、小鳥が数多く観察でき、熊の爪痕やうさぎ・きつね・たぬき・かもしかなどの足跡も多く、動きについて考えてもらった。雪の上で生活する「雪虫」の動きも見られ、その不思議な生活に驚く参加者が多かったようだ。
 また、植物の冬の状態も、春になるとのびて葉や花になる冬芽について、その形や寒さに対する状態など細かに観察できた。
 途中から雪になったが、これ幸いと新雪を受け、結晶の形を観察しながら、上空で雪が形成する温度・湿度など条件についても解説した。
 2月2日。晴れ一時曇りで自然観察日和となった。カラ類などの小鳥も多く、やまどりが驚いて飛び立ったが、その様子が雪上に羽の跡がくっきり残っていて予想外の観察ができた。かもしかが顔を見せ、急崖を下りて行き、改めて崖も上手く歩くものだと実感した。
 くまの爪痕、かもしかが角で小枝をこすった痕跡、足跡など動物の息使いが感じられる観察となった。
 なお、1月26日にはNet3が全コ−ス、重いテレビカメラ持参の取材があった。ご苦労様でした。

2007/10/13(土)〜12/02(日)
 第20回企画展「SABO−その技術と道具の変遷」
 昨年、常願寺寺川における砂防事業が開始されてから100周年を迎えました。今年は、かつて人力で行われていた砂防工事を「道具」で振り返る企画展を開催しました。
 白岩砂防えん堤(本えん堤高:63m)は日本一の高さを誇り、立山カルデラの基幹えん堤となっています。この巨大な砂防えん堤が、どのように計画され、築造されたのかを知ってもらうために工事過程の写真や関係資料を展示しました。有数な豪雪地帯として知られる立山カルデラにおける白岩砂防えん堤の築造は、他に類を見ない難工事でした。工期が約半年間ほどに限られるため、デリッククレーンなどの最新の重機械類を導入するなど、現場の近代化が図られました。
 一方、道具は、生活や生産のために必要としてつくりだされ、利便性と耐久性が求められ工夫と改良を重ねることで進歩してきました。立山砂防工事の現場には、昭和初期に重機械類が導入されたものの、多くの砂防施設の築造は、人力と小さな道具に負うところが大きかったと言えます。展示では、来館された方々が道具に触れたり、使用できるように工夫しました。コンクリートを練るスコップなどの工事用具、砂利(バラス)を入れるための箱、モッコや背負子などの運搬用具に衆目が集まっていました。また、親子連れが「手廻式計算機」を使って一所懸命に計算問題を解いている姿が印象的でした。
 11月1日(木)から4日(日)まで最新の測量機「3Dレーザースキャナー」をNTTインフラネットのご協力を得てデモ展示しました。こうした最新機器と古い道具を見比べると、隔世の感がありますが、かつて使用されていた小さな道具にも当時の人々の智恵と工夫が集約されていることが分かります。道具に触れながら、先人の積み重ねてきた努力と苦労の一端を垣間見ることができた、有意義な展示となりました。
正面タイトル 主な砂防技術の紹介
手廻式計算機に挑戦する小学生 昔の工事用具にふれるコーナー
展示パネルに見入る来館者 最新測量機のデモ展示

2007/10/14(日)
 フィールドウォッチング 「飛越地震と常願寺探訪」
 今年は晴天に恵まれ、清々しい秋空のもと、常願寺川上流から中流の史跡を探訪するフィールドウォッチングを実施しました。
 前半は、紅葉を迎えた有峰を訪れ、その自然と歴史に理解を深めました。さらに飛越地震を引き起こした「真川跡津川断層露頭」へ足を伸ばし、学芸員が断層と地震について詳しく解説しました。雄大な薬師岳と秋の彩りを見ながらの昼食をとりました。
 後半は、常願寺川の取水の仕組みと電源開発の歴史を学びました。県内の水力発電は、富山電燈会社による神通川の大久保発電所を端緒とし、大正10年には常願寺川で亀谷に、大正13年には県営初の水力発電所が中地山、松ノ木、上滝に設置されています。続いて「横江えん堤」、「常西合口用水」を訪れ、私達の生活用水がどのように流れているのかを目で見て学びました。さらに「佐々堤」では、かつて水難防止を願ったとされる武将・佐々成政の想いに心を馳せました。最後に「延命地蔵尊」で常願寺川水系の名水で喉を潤しました。滋賀県から参加された方から「普段は入れない跡津川断層を間近で見られて感激しました。断層の解説も分かりやすく、はるばる来た甲斐がありました」とのご感想をいただきました。
立山町西大森の巨石の大きさを体感する。 国天然記念物の真川跡津川断層を実見する。
常願寺川の取水の仕組みを学ぶ。 石倉町延命地蔵の名水で喉をうるおす。

2007/09/08(土)〜10/08(土)
 特別展 五百沢智也展「山の図譜−氷の山・火の山」
 氷河地形研究者であり、山岳鳥瞰図作家として知られる五百沢智也(いおざわともや・千葉県在住)氏は1970年から1980年代にかけて山岳雑誌において日本アルプスやヒマラヤの鳥瞰図を連載し、氷河作用や火山活動でできた山をまとめ、『鳥瞰図譜=日本アルプス』(講談社)を出版されました。その鳥瞰図は、地形を見る確かな眼と、航空写真を実体視する高い技術に基づいて描かれており、山岳地形、氷河地形の客観的な記録として高い評価をうけています。
 この特別展では、『鳥瞰図譜』などに掲載された日本アルプスの山岳鳥瞰図の原画などのうち、火の山として“立山・焼岳”氷の山として“剱岳、薬師岳・黒部五郎岳、槍・穂高岳、鹿島槍ケ岳、白馬岳”を展示することによって、立山などの山々の風景が長期にわたる大地のさまざまな営みによって形成された「地形」であることを理解していただくことを目標としました。
 幼いころからの画業によって鍛えられた美的センス、山への興味・愛着、地形学と地図作成の両分野に跨がる専門家としての豊富な知識と経験を十分に感じ取っていただけたようです。さらに、立山などの山々の風景が、長期にわたる大地のさまざまな営みによって形成された「地形」であることにも納得されたようです。

2007/09/30(日)
 フィールドウォッチング「秋の弥陀ヶ原とカルデラ展望」
 紅葉の秋、弥陀ヶ原の自然を観察し、松尾峠の展望台から立山カルデラを望むもので、本年度も人気が高く、急ぎ小型バスを追加しました。弥陀ヶ原の追分でバスを下り、65名を4班に分け観察しました。
 ただ、天気には恵まれず、予報も日が近づくにつれ悪くなり、一日中雨でした。観察路は木道で、滑りやすく足下に注意しながらの観察会となりました。展望も効かず残念でした。近くの自然はよく観察でき、ガキの田や樹木について解説しました。鳥が留まっているように見えるオオシラビソの球果に関心が集まっていました。
 昼食をはさんで、国民宿舎立山荘では時間を多めにとって「弥陀ヶ原の成り立ち、植物、動物、歴史」などについて画像を用いて解説しました。
 参加者の中にアメリカからの4人家族もあり、小学生の2人も楽しく勉強したようでした。

2007/09/09(日)
 フィールドウォッチング「室堂山・浄土山とカルデラ展望」
 室堂山や浄土山の自然観察をしながら、立山カルデラを展望しようと本年度から企画した観察会です。38名を2班に分け実施しました。霧が立ちこめ、カルデラ展望は充分とはいきませんでしたが、カルデラ内の様子が幻想的に見え、感激する場面もありました。
 カルデラ壁の割れ目(重力断層)や室堂溶岩の板状節理、そして浄土山を造る花こう岩と室堂山を形成する安山岩との境界を観察し、立山連峰の形成について説明しました。
 浄土山への道は急傾斜で苦労する方も見られたが、その分登り切った喜びは大きかったようです。室堂平から見る浄土山は、三角形の特徴ある山体ですが頂上付近は平坦で、驚いている方も多く見られました。
 午後は霧もはれ、浄土山から雄山への登山道が望まれ、特に三の越の大岩に昭和天皇が皇太子の時、小矢部から望まれた立山連峰の雄大な姿を詠まれた歌が、富山県民を感激させ彫った歌碑であることを話すと、興味を懐かれたようで、質問ぜめになる場面もありました。
 帰りは一の越から下山しました。

2007/08/24(金)
 名誉館長講演会「歴史から見た地震と土砂災害」
 伊藤先生より、まず7月16日に発生した中越沖地震の被災状況が説明されました。亡くなった方の多くが70歳以上の高齢者であったこと、倒壊家屋の多くが古い木造住宅で瓦には雪対策のためのふき土が施してあったこと、初めてM6.8の地震を体験した原子力発電所の様子などを現地調査の写真をもとに紹介されました。続いて「歴史から見た地震と土砂災害」について筑紫国の地震・善光寺地震・飛越地震・島原大変・長野県西部地震などが紹介されました。
 本臼副所長より、国土交通省の関わった中越地震・能登半島地震・中越沖地震について取り組みや支援内容などが紹介されました。その後、伊藤先生と本臼副所長とでトークを行ないました。善光寺地震規模の地震が発生した場合、砂防工事で防ぐことができるかなど地震と砂防とのかかわりに話がおよび大規模災害に対応するため国土交通省の支援体制の強化が求められ一日も早く安全で安心な生活に戻れるよう頑張ることを強調して終了しました。

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