ホットな情報コーナー
2014年 8月 2〜 3日(土・日)
  真夏のサイエンスショー2014
 毎年この時期の恒例イベントとして2日間にわたって、自然現象を「真似てみる・探ってみる」ことでその原理や振る舞い、不思議、脅威を楽しく理解する、サイエンスショーをおこないました。今年は四人の実験講師に、雪と氷、山地形の成り立ちや流れる水・河川が作る地形、そして雪崩や土石流といった斜面災害などをテーマとして、自然現象の模擬実験をおこなっていただきました。

 これらの実験テーマは特にここ富山県で頻度の多い自然現象です。
 富山県の人々にとって雪は、生活習慣に深く関わっているなじみ深いもので、地域環境に影響を及ぼしている最大の循環システムともいえる「水」の一形態でありながら、その不思議な挙動や特性については良く知られているとは言えません。
 立山連峰の険しい地形を源にした水の流れが山を削って土砂を運び新しい地形を作り出します。でも、川原の石ころがどんな旅をしてきてどこに向かおうとしているのか、そもそも私たちの暮らす富山平野がその川の営みによって成り立っていることをどれだけの人が認識しているでしょう。

 当たり前のように見て触れている自然現象だからこそ、その原理は知られていないものです。自然が美しいと思うこと、厳しいと思うこと、それぞれの背景、成り立ちを正しく理解することで自然と上手にふれあえる距離感が芽生えてきます。自然の変化に富む「美しくも厳しい日本」では特にこの距離感がとても大切なことだと思います。
 近年は幼少期の遊びを通して自然と触れ合うことが少なくなったため、自らの体験を通した自然との距離感を身につける機会が減りつつあります。危険な自然現象の理解を如何にして得て自然災害を回避するか、その知識は自分自身だけではなく多くの人の命を未来に繋げていく糧となる価値を秘めています。

 それぞれの実験は直接観察することが困難な場所で発生したり、長い時間をかけて変化していく自然現象を、簡単な道具や身近な材料を利用した実験装置で単純明快に再現し直感的な理解を促す、すばらしいイベントとなりました。またさらに同時開催の企画展「立山登山」の体験展示「ピンポン球なだれ」を実験講師の詳しい解説でご覧いただきました。

 このイベントで、より多くの方々が自然界の様々な現象に関心を深め、自然と人間の営みのシームレスな繋がりに気づくことで、自らの生活環境の脆さや儚さを理解いただくことを私たちは期待しています。そうしたことの切っ掛けという意味で講師の方々にとても大切な一石を投じていただけました。この体験がご覧いただいた方の心にいつまでも残り続けることを願っています。
 
美しい雪の結晶 氷に咲く花
神田 健三 先生
雪と氷の不思議
平松 和彦 先生
地形のでき方を探る
目代 邦康 先生
防災おもしろ実験
納口 恭明 先生